資金繰りの実務B

自社で資金繰りを行うために負担にならない運用(作業)方法の一例を解説していきます。(企業規模や業種、運営する人数などによって効果的な方法は様々です。)
上記図表のように資金繰りの作業は記録と計画・予測という作業に分類されます。
それにより作成される各資料を活用し、資金繰りの運用管理を行います。
今回は資金繰りの全体像のうちB活用部分を解説します。
活用
今までの記録や計画・予測という作業はこの活用という作業のために行われます。
・計画・予測の段階で資金の状況がどうであるか?
・記録し、現実と計画・予測の差異が出たのか?
・その原因は何か?
このように作業で作成した資料を運用管理に活用し将来のキャッシュ増につなげます。
<やること>
・各資料(日次月計資金繰り表、月次年計資金繰り表)の予算と実績の差異を確認。
・資金調達の必要性の確認
日次月計資金繰り表は記録と計画・予測の表を2枚作成し確認します。1枚の表にしても良いですが、見辛いので分けた方が使いやすいでしょう。
月次年計資金繰り表は1枚で予算と実績の欄があるためそれを確認します。
まず資金残高の差異を確認、次に収支合計の差異、さらには入出金の項目毎の差異というように大きな集計の順に確認していきます。
例えば、資金残高が少ない→収入合計が計画より少ない→項目の中で1番大きな差は売掛金入金の不足→売掛金の入金予定と比較して回収遅延が原因か確認、というような流れです。
このように差異を調べていくなかで会計データ、販売管理データなども活用していくことになります。
次月以降の予算は修正してもよいですが、内訳を変えることで全体的に影響がでるため無理に修正せず、残高のみ修正することで良いでしょう。
◇日次月計資金繰り表特有の点
月内のどこかの1日に資金が足りなくなる、または、かなり少なくなりそうという点を確認します。
また銀行口座間の資金移動のタイミングを見るときにも活用します。
◇月次年計資金繰り表特有の点
この表は銀行に提出する資金繰り表になります。
その内容やズレなどをよく金融機関から質問されます。最初は答えられないことも多いですが過度に気にせず、分からない理由を確認していきましょう。
年次計画、月次計画と日次計画は数値が整合しなければならないわけではありません。
日次計画は提出する資料ではなく、自社の管理資料です。
日次計画は年次・月次計画と相互に整合を保つことよりも、近い未来の予測精度を高めることやズレの原因が分かることが重要です。
◇資金調達に備えるために
資金調達においては、調達が必要→検討・判断→申込・審査→融資実行までの流れを考えると、3ヶ月程度先までの精度の高い資金繰りが重要です。
昔は金融機関から資金を調達するのには1週間(早いときは1日)でなんとかできた場合もあったのですが、今ではスコアリング融資でない限り難しいでしょうし金額も限られます。
また、交渉という点からみても時間的余裕があることは有利に働きます。誤った判断が少なくなる可能性も高まります。
複数行への調整が必要であっても3ヶ月はギリギリ調整可能な期間でもあります。
1年程度先の期間でも精度の高い計画が立てられることが一番良いのですが年次計画の精度を高く保つことは一般的には難しいです。
経営者自身が業績計画(見通し)を明確に立てられないときは特に難しいでしょう。
日次月計資金繰り表と月次年計資金繰り表の予実績を管理し、高い精度で資金調達の申し込みが出来るように運用しましょう。
資金繰りの実務@〜記録編〜はこちら
資金繰りの実務A〜計画・予測編〜はこちら
◇弊社では企業の状況に合わせた資金繰り方法の策定、実行支援を行なっております。
解決のためのメニュー:【資金繰り改善支援】
※解説で使用したファイルが必要な方は無料で差し上げます。(下記お問い合せフォームからご連絡ください。)
また、解説に使用した月次年計資金繰り表、計画財務諸表は、税理士 西野光則先生が作成したファイルの書式を元に私が作成しました。西野先生のサイトには元になった表を含め経営に役立つファイルが多くあります。http://www.ap-system.net/index.php


